白黒パッケージが家計に響くナフサショックという見えない波
ナフサとは?
最近、「ナフサ不足」や「ナフサショック」という言葉をニュースやSNSでよく見かけるようになりました。少し前までは耳にすることもなかったのに、ここ数カ月で急に生活に関係ある言葉へと変わってきた気がします。
ナフサというのは、原油を精製する途中で出てくる“少し軽い油”のことで、プラスチックや接着剤、塗料などの材料になる液体です。

ガソリンみたいに直接ガソリンスタンドで見るものではありませんが、ラップやペットボトル、食品の袋、ユニットバスの樹脂部分など、身の回りの「プラスチックっぽいもの」の元になっているので、ナフサが足りなくなると、私たちの生活のあちこちに影響が出てきます。それだけでなく、衣類などにもつながっています。ポリエステルやナイロンなど、いまの衣類で当たり前に使われている化学繊維は、もとはナフサから作られた原料が元になっています。
そのきっかけのひとつが、カルビーの発表でした。ポテトチップスやかっぱえびせん、フルグラなど主力14商品のパッケージを、5月下旬から順次白と黒の2色だけに切り替えるというニュースです。
印刷インクやフィルムに使われる原料の一部がナフサ由来で、調達が不安定になっているため、色数を減らしてでも安定供給を優先するという説明でした。
この話を知ってから、私もスーパーのお菓子売り場をのぞくたびに少しそわそわするようになりました。
まだ見慣れたカラフルな袋が並んでいますが、「そのうち本当に白黒パッケージが並ぶのかな」と思いながら棚を眺めています。そんな日が来たら、「ああ、本当にナフサ不足が続いているんだ」と実感するのかもしれませんし、同時に財布の紐を締める日々が始まるのかもしれませんね。
ナフサ不足は、食品だけでなく家づくりやリフォームの現場にも影響していようで、知り合いの工務店さんによると、「ユニットバスの新規受注が止まり、工事の段取りが組みにくい」とのこと。
ユニットバスは大きな箱状の設備なので、先に入口や壁を仕上げてしまうと後から搬入できません。そこで、ユニットバスが入ってくるめどが立たない現場では、浴室まわりの工事をあえて途中で止め、ほかの部屋だけ先に進めるという状況が起きています。
実際にTOTOなど大手メーカーが、接着剤の原料となるナフサ由来の溶剤不足で新規受注を一時停止したと報じられました。
一方で、政府や専門家は「日本全体として見れば原油やナフサの量は確保できている」「問題は配分や流通の目詰まりだ」と説明しています。つまり、原油そのものが不足しているわけではなく、原油からガソリンやナフサをどの比率で取り出すか、どの業界に優先的に回すかという“配分の問題”が、私たちの生活では 不足 として現れているようなのです。
このブログでは、そんな素朴な疑問
――「原油はあるのに、なぜナフサが足りなくなるの?」――
を出発点に、背景にある原油の性質の違いや精製の優先順位が、どのように食品パッケージや住宅設備の不足につながっているのかを、
一見むずかしそうな「原油の性質」というテーマですが、私なりに理解して整理してみました。
あなたもこのな異変に気づいていませんか?

ガソリンスタンドは普通に営業している。 原油の輸入量も「安定している」と報じられている。 なのに、建材が届かない。樹脂が足りない。包装材が値上がりする。 工場は止まり、住宅の工期は遅れ、生活用品の値札がじわじわと書き換わっていく。
ガソリンのようにそのまま使うものではなく、 お菓子の袋、シャンプーのボトル、家電のプラスチック部品、建材の樹脂など、 生活の材料をつくるための出発点になる存在です。
だから、ナフサが不足すると、 ガソリンスタンドは普通に営業しているのに、 なぜか袋が作れない、建材が届かない、工期が遅れる…… という 静かな異変 が起きてしまうのです。
「ガソリンは普通なのに、なぜ 袋の色 が作れないのか」 「原油はあるのに、なぜ素材だけが止まるのか」
この 説明のつかない違和感 は、 実は 日本のエネルギー政策と原油の性質が生み出した構造的な問題 です。
第1章|原油はあるのに、ナフサだけが足りないってどういうこと?
ニュースでは「原油の輸入量は安定」と言われているのに、 なぜか建材が届かない、包装材が値上がりする、工期が遅れる……。
このちぐはぐな現象は、実は 「原油の性質 × ガソリン優先 × 原油産地の変化」 という3つの理由が重なって起きています。
① 原油にも性格がある(ナフサが多い原油・少ない原油)
原油って、どれも同じ黒い液体に見えますよね。 でも実は、産地によって取れるものの割合が違います。
原油の種類とナフサの量
| 原油のタイプ | 主な産地 | ナフサの量 | ざっくり特徴 |
|---|---|---|---|
| 軽質原油 | 中東・北海 | 多い | ナフサが豊富で素材づくりに向く |
| 中質原油 | アジア・アフリカ | 中くらい | バランス型 |
| 重質原油 | ロシア・南米 | 少ない | ガソリンや重油が多め |
つまり、 「原油が届いた=ナフサが十分ある」ではない ということなんです。
同じお米でも、産地で味や粘りが違うように、 原油も性格が違うんですね。
② ガソリンを優先すると、ナフサが静かに削られる
ここ数年、日本はガソリン価格を守るために ガソリンを優先して作る設定 にしています。
するとどうなるか。
- ガソリンを増やす
- → 同じ原油から取れるナフサが減る
という見えない配分変更が起きます。
統計では「ナフサも確保」と言われても、 実際にはガソリンに回されてしまい、 プラスチックや樹脂の材料に届く量が足りなくなる 構図なんですね。
③ 原油の産地が変わり、ナフサが取りにくくなっている
中東の情勢が不安定になると、日本は アメリカのシェール油や重い原油 の比率を増やします。
でもこれらは、 ナフサがあまり取れないタイプの原油。
結果として、 原油の量は同じでも、 ナフサだけが静かに減っていく という現象が起きています。
第2章|ナフサ不足の影響は遅れて出てくる
ナフサは、私たちが手に取る商品のもっともっと上流にある材料です。
そのため影響は、こんな順番でゆっくり広がります。
ナフサ不足が生活に届くまでの流れ
| 段階 | 起きること |
|---|---|
| ① 上流 | 石油化学メーカーのナフサ在庫が減る |
| ② 中流 | 樹脂・フィルム・塗料の価格が上がる |
| ③ 下流 | 加工業者の納期が遅れ始める |
| ④ 生活 | 建材・家電・食品パッケージに影響が出る |
だから、 ガソリンは普通に買えるのに、袋や建材が足りない という静かな異変が起きるわけです。
カルビーの白黒パッケージも、 ユニットバスの受注停止も、 この流れの中にあります。
第3章|ナフサは戻るの?——短期と中長期の見通し
ここが一番気になるところだと思います。
結論から言うと、 ナフサは戻る可能性が十分あります。
ただし、
- ガソリン優先が続くのか
- どんな原油を輸入するのか
- 世界情勢がどう動くか
によって、 数ヶ月で戻るのか、半年〜1年かかるのか が変わります。
ナフサが増える条件(表で整理)
| 条件 | ナフサへの影響 |
|---|---|
| ガソリン価格が落ち着く | ガソリン優先が緩み、ナフサが増える |
| 軽質原油の比率が戻る | ナフサが取りやすくなる |
| 精製設定(カットポイント)を調整 | ナフサの取り出し量を増やせる |
時間がかかる理由
- 軽質原油の安定供給には時間が必要
- 石化メーカーの在庫回復にも時間がかかる
第4章|じゃあ、私たちはどうすればいいの?
生活者としてできることは多くありませんが、 “知っておく”だけでも、無駄な不安を減らせます。
生活者としてのヒント
- リフォームや建材は、納期に余裕を持つ
- 樹脂製品の値上がりは一時的な可能性もある
- 国産材や非ナフサ系の素材が増える流れを知っておく
- 企業の「材料確保力」が差になる時代が来ている
いま起きているのは、 「燃料は守られ、素材が止まる」 という逆転した供給危機。
でも、ガソリン優先が緩めばナフサは戻る可能性が高く、 必要以上に悲観する必要はありません。
ただし、 短期で済むのか、中長期になるのかは“政策と原油産地”次第。
ここを理解しておくことが、 これからの生活や買い物、家づくりの判断に役立つと言えるのではないでしょうか?。





