ジューンブライドストーリー

6月をイメージで言うと、梅雨のシーズンやジューンブライドを思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。雨の匂いや紫陽花あじさいの色、そんなジューンブライドを物語にしてみました。

💐 6月のイメージ

六月は、日本では梅雨の真っ最中です。空はどんよりとして、傘が手放せない日が続きますが、そのぶん街角の紫陽花は青や紫に輝き、少し立ち止まるだけで心を和ませてくれます。

逆にヨーロッパでは、六月は晴れの日が多く、古くから「六月の花嫁は幸せになれる」と信じられてきました。結婚と家庭を司る女神ユノの加護を受けられる月、そして農作業が落ち着き、長く待ちわびた恋人たちがようやく結ばれる月でもあったと言われています。

この物語の舞台は、そんな六月の日本。
外はあいにくの雨。それでも、ジューンブライドという言葉に込められた「幸せになってほしい」という祈りと、雨の日ならではの「憂鬱な2人の気分」を、温かい人たちに囲まれつつ[プランナー担当の…結野ゆの]が、そっと背中を押して「本当の幸せを決めるのは何なのか」を、見つけさせてくれた。そんな笑いとささやかな一日の物語となっています。

6月の花嫁


💐 エピソードストーリー

「6月の花嫁とユノ様の奇跡」

六月のある雨の日。
結婚式場の控え室で、花嫁の 愛樹莉あしゅり はウェディングドレスの裾を握りしめていた。

「ねえユノ様、私、本当にジューンブライドで幸せになれるのかな…?」

窓の外はどしゃぶり。
天気予報は見事に外れ、予定していたガーデン挙式は完全に中止。
幼いころから憧れてきた「青空の下での指輪交換」は、雨とともに流れてしまった。

そこへ、ドアが勢いよく開いた。

愛樹莉! 大変だ!」

 新郎の 添基てんき が駆け込んでくる。
愛樹莉の心臓がきゅっとなる。

「ま、まさかキャンセル料が倍になった、とか…?」

「違う違う! 控え室のドアノブ、さっきの雷で壊れちゃって、外から開かなくなったらしい!」

「そっちのほうが一大事なんだけど!」

ふたりは顔を見合わせて、なぜか同時に笑ってしまった。

「ねえ、ユノ様」
(あしゅり)は小さくつぶやく。
「結婚と家庭の女神様なんでしょ。守ってくれるって言ってたよね? 六月はあなたの月なんでしょ。もう少し優しいスタートでも…」

祈るように天井を見上げた、そのとき。

「はじめましてー! 本日担当の、プランナーの…ゆのです!」

勢いよく入ってきたのは、ずぶ濡れの女性スタッフ。
名札には、確かに「結野 優乃」と書いてある。

「本物!?」
(アシュリ)と添基がハモった。

「いえ、ただの人間です。雷でエレベーター止まって階段ダッシュしてきただけの、凡人です」

優乃はふうっと息を整え、ふたりの顔をじっと見つめた。

「おふたり、ガーデン挙式ができなくてしょんぼり…って感じですよね。でも、ここからがジューンブライドの本領発揮なんですよ」

「本領発揮?」

「ジューンブライドには、いくつかの物語があるんです。
結婚と家庭を司る女神ユノが六月を守っていて、この月に結婚すると幸せになれるという言い伝え。
それからもう一つ。昔のヨーロッパでは三月から五月まで農作業が忙しくて結婚が禁じられていて、六月になってようやく、待ちわびたカップルたちが一斉に結婚したという話。だから、六月の花嫁は『やっと一緒になれた喜び』の象徴でもあるんです」

アシュリは思わず聞き返した。

「待ちわびた、喜び…」

優乃はうなずき、にやりとほほ笑む。

「おふたりも、今まさに『待ちわびてる』じゃないですか。
ガーデン挙式、青空、完璧な写真。全部そろわないと幸せになれないって思ってません?」

図星だった。

「でも、本当に『幸せ』って、青空だけで決まりますか?
ジューンブライドが日本に広まったのは、梅雨の時期でも『幸せな花嫁になれる』って信じてほしい、そんな願いからだったんですよ。
だからこそ、雨の日の花嫁って、特に6月は特別なんです」

そのとき、また外で雷が鳴った。
続いて、ドン、と何かが落ちたような音。

「今の音は?」

「たぶん…会場の電飾ですね」
スタッフが青ざめる。

「ねえ、ユノ様。演出、少し強すぎません…?」
アシュリは半笑いでつぶやいた。

優乃は頭をかきながら言った。

「よし、決めました。
ガーデン挙式は、チャペルの窓際を使って雨と虹のセレモニーに変更します。
雨粒にライトを当てれば、ステンドグラスみたいにきれいです。
おふたりが扉を開ける瞬間、外の雨音も、ゲストの拍手も、全部BGMにしちゃいましょう」

「そんなの、うまくいくかな…?」

「大丈夫です。結婚を司る女神の名前を持つプランナーの私が、全力でサポートしますから」

優乃の力強い声に、ふたりは思わず笑った。

「それに…」
優乃は少し照れくさそうに続けた。

「私は、雨の日の花嫁が一番好きなんです。
日本には『雨降って地固まる』ってことわざもあります。雨のあとほど、地面はしっかり固まる。
ふたりの新しい生活もきっと、今日の雨の始まりから、ぐっと強い絆になるはずです」

その言葉に、(あしゅり)の胸の中で、何かがほどけた。

「ねえ添基、青空じゃなくても、いいかな」

「当たり前だろ。
俺の名はテンキだぜ、天気じゃないけど、土台(基)を支える(添)添基だ」

「まして、
愛樹莉の うるおい(樹)のある(愛)を、えられた(莉)のだから」

「むしろ、
ここまで来たら、雨じゃないと物足りないくらいかも」

「ちょっと、それはそれでどうなの」
アシュリが笑うと、優乃もほほ笑み、控え室の空気が一気に明るくなった。

やがて、チャペルの扉がゆっくりと開く。

外は相変わらず雨だったが、ライトアップされた雨粒が、まるで無数の小さなダイヤモンドのようにきらめいている。
バージンロードの先で、ゲストたちは傘を閉じ、少し濡れながらも、満面の笑みでふたりを待っていた。

「6月の花嫁は幸せになれるって、本当かな」

アシュリがささやく。

添基は、そっと手を握り返した。

「たぶんね。
だって、女神ユノも、結野優乃も、ちょっとミスって全力でサポートして、整えてくれたし」

「言い方!」

ふたりは笑いながら、一歩、また一歩と進んでいく。

扉の外の雨音と、チャペルの中の拍手が混ざり合う。
その瞬間、アシュリはふと思った。

「本当に幸せにしてくれるのは、ジューンブライドって言葉じゃなくて。
雨の日でも笑い合える、この人と、今日を迎えられたことなんだ」

その気づきが、何よりも大きな「加護」のように感じられた。

式の終わり、集合写真のとき。
突然、雲が切れて、細く淡い虹がのぞいた。

「ほら、最後にちゃんとサービスしてくれるんだね」
添基が空を見上げる。

アシュリは小さく手を合わせた。

「ユノ様。ありがとう。優乃様も、ありがとう」

優乃プランナーは、その祈りを知らないまま、隅でバタバタと段取りの最終確認をしていた。

「しまった、雨の日なのに ハンカチ配ること忘れてた…!」

彼女のそんな小さな失敗も含めて、
ふたりの「6月の花嫁物語」は、笑顔と感動でいっぱいの一日となりました。


6月の結婚にまつわるお話

情報参考サイト記事

 ラ・メールコラム
ギフトコンシェルジュ〔リンベル〕
マイナビウエディング プレミアムヴェニュー
東急百貨店公式ホームページ
花・花束を贈るフラワーギフト通販の【日比谷花壇】公式
ホテル椿山荘東京【公式】

 ジューンブライドの意味

June bride(ジューンブライド)日本語にすると「6月の花嫁」という意味です。
ヨーロッパでは昔から「6月に結婚する花嫁は幸せになれる」「生涯幸せに暮らせる」という言い伝えとして知られています。

6月の花嫁が幸せになれると言われる理由

代表的な由来は次のようなものです。

女神ユノの加護

ローマ神話の結婚と家庭を司る女神ユノは、女性や結婚生活を守る存在とされ、そのユノが守る月が6月と考えられてきたことから「6月に結婚すると女神ユノの加護を受けて幸せな結婚生活を送れる」と信じられてきたんですね。

結婚を待ちわびた喜び

ヨーロッパでは昔、農作業が忙しい3〜5月は結婚が避けられ、6月になると多くのカップルがいっせいに結婚したという説もあります。
長く待った分、祝福も大きく、その様子から「6月の花嫁は幸せ」というイメージが広がったとも言われます。

日本でのジューンブライド

日本では梅雨の時期にあたるので、もともと6月の結婚式は多くありませんでした。
そこで1960年代後半ごろから、ホテルやブライダル業界が「ジューンブライド=幸せな花嫁」というロマンチックなイメージを広めていき、今のように知られるようになったとされています。

本当に幸せになれるの?

ジューンブライドは「6月に結婚したから自動的に幸せ」というおまじないというより、「ふたりで幸せになろう」という願いや周りからの祝福を形にした言葉なんですね。
大切なのは月よりも、お互いを思いやりながら暮らしていけるかどうかですが、ジューンブライドのストーリーを知ると、6月の結婚も少し特別に感じられたと思います。


 まとめ

物語の中で降り続いた雨は、ふたりの思い通りの結婚式の邪魔をしているように見えました。けれど、予定が崩れ、ハプニングが重なったからこそ、ふたりは「完璧な段取り」よりも「一緒に笑える今」を大切に思えるようになっていきました。

「雨降って地固まる」ということわざは、嫌な出来事やトラブルのあとほど、かえって関係が強くなることを表します。
この一日の雨も、ふたりにとってはまさにその通りでした。計画通りにいかない現実を前にしながら、お互いの本音に触れ、支え合い、笑い合った時間が、これからの夫婦としての土台をゆっくりと固めてくれたのだと思います。

そして、「終わりよければすべてよし」という言葉の通り、晴れ間にのぞいた小さな虹も、最後にふたりの記憶をやさしく彩りました。
完璧な青空や、予定通りの進行がなくても、振り返ったときに「いい一日だった」と心から思えれば、その物語は幸せな物語になります。

ジューンブライドの本当の魔法は、特別な月やおまじないではなく、どんな天気でも、どんなハプニングでも「ふたりで一緒に乗り越えて笑える」ということを教えてくれるところにあるのかもしれませんね。