労災保険認定までの流れ!
労災保険とは!
「労災保険」の正式名称は「労働者災害補償保険」と言い、労働基準法に基づき、労働者が通勤や勤務中に、ケガや病気(疾病)などによる障害により、通常の業務(労働)が出来なくなった場合の社会保険制度です。
もしも、後遺症や後遺障害が残った場合や亡くなってしまった場合に、対象となる従業員やその遺族に対して保険給付が行われます。
業務災害と通勤災害
労災保険には、主に2つのタイプが有り、[業務災害・通勤災害]などが保険給付の対象となります。
労災保険の給付を受けるには、各種申請書を労働基準監督署などに提出し、保険請求の手続きを行うことが必要です。
ただし、給付を受けるには審査で[ケガ・後遺症・後遺障害]などの認定を受ける必要が有り、審査に通らなければ、保険給付を受けることができません。
【後遺症と後遺障害の違いについて!】
「後遺症」
・病気・怪我などをした後に治療を続けても、身体的に回復が見込めない場合や傷痕が残り、業務に支障が出る場合
・事故により、精神的に労働に対する意欲の低下(喪失感)が認められた場合
などの事を言います。
「後遺障害」
後遺障害とは、「交通事故よる後遺症」と認められた場合の事を言います。ケガによる傷害の程度や精神状態の程度により、自賠責保険の等級に該当するものと定義されています。
労災における後遺障害も、自賠責における後遺障害と類似した概念はありますが、法的な[取扱い・申請・認定]の手続きは全て異なります。
交通事故によって後遺障害が残った場合、等級に応じて保険金が支払われます。
とありますが、事故後に残った後遺症だとしても、条件に当てはまらない場合は「後遺障害」と認められない事も有ります。
医師から「後遺症は残る」と説明された場合でも、「後遺障害」に該当する範囲でない場合(通常作業)に支障が無い場合は受ける事が出来ない場合が有ります。
また、プライべートでの遊びによる寝不足や二日酔いなどが原因でのケガであった場合、自己管理出来ていないと、労働基準監督署が判断した場合は、労災が認められない場合も有ります。
後遺障害の認定を受けた場合、14段階の等級によって保証が変わってきます。
後遺障害等級認定
後遺障害等級認定を受けると給付を受けることができます。
後遺障害等級の認定を受けると、「療養給付・休業給付・障害給付・傷病年金」を受けることができます。
・療養給付とは、入院や通院
・休業給付とは、仕事を休
・障害給付とは、ケガによる後遺症
・傷病年金とは、休業補償給の打切り後に給付されます。
・介護給付とは、自力での生活が困難な場合、介護費用の給付が有ります。
療養給付
通勤時や勤務中にケガした時や、病気にかかった場合に、労災指定病院の医療費を負担してくれる制度です。
ただし、労災指定病院意外だった場合は、いったん実費で費用を支払わなければいけません。
後日、労働基準監督署に医療費等の請求書を提出する事で給付されます。
休業給付
業務上の病気や怪我で仕事を3日以上、休んだ時に受取れる給付です。休職4日目から1日につき、休業補償給付として休業給付基礎日額(過去3か月の平均賃金)の60%相当額が支給され、さらに、休業特別支援金として社会復帰促進事業から(過去3か月の平均賃金)の20%相当額が支給される事になり、(過去3か月の平均賃金の合計)80%が支給される事になります。
傷病年金
業務災害または通勤災害による傷病が療養の開始後1年6ヵ月を経過しても治っておらず、労災保険法で定める傷病等級に該当する場合は、休業補償給に代わり、障害の程度に応じた額が支給されます。
※通勤災害の場合は「傷病年金」が支給されます。
※療養給付は引き続き支給されるが、休業給付は支給されません。
障害給付
障害給付には、[障害年金・障害一時金]という(補償)があり、毎年偶数月の2か月前に前払いで給付されます。
・障害年金…障害等級1級~7級の障害の場合に年金として支給されます。
・障害一時金…障害等級8級~14級の障害である場合は一時金として支給されます。
認定を受けるには、医師の診断書が必要なのですが、診察のさいに自身が思うより医師の判断が軽度な症状と診断してしまうと、自身にとって不利な認定をされてしまう事も有る為、医師にしっかりと伝えることで、正当な給付を受ける事が出来ます。
もし、納得がいかない場合、再審査の請求をする事も出来ます。
ただし、給付等支給決定通知後に、再審査の請求をする場合は、通知日から60日以内に労働者災害補償保険官へ再審査請求をするとこが出来ますが、ほとんどの場合 結果が変わる可能性は無く、その確率は95%も無いと言えるでしょう。
介護給付
障害年金または傷病年金受給者の方が、一定の障害により、介護を受けている状態にある場合、給付されます。
※業務災害の場合は「介護補償給付」
※通勤災害の場合は「介護給付」
が支給されます。(給付内容が同等なので両給付を合わせて)〔介護(補償)給付〕となります。
労災保険率は、原則3年ごとに料率の見直しが行われています。
現在の労災保険率は、2018年4月1日より適用されています。
詳しくは、保険料率等は、厚生労働省 のホームページでご確認下さい。
1.平成30年度労災保険率の料率表
2.平成30年度雇用保険率の料率表
3.年度更新申告書の書き方
その他に、もしも亡くなられた場合に[遺族給付・葬祭料]などの保証制度も有ります。
遺族給付
業務中や通勤時の[災害・労災]によって亡くなってしまった労働者の収入により、生活をしていた親族に対して支払われる給付です。
その場合、遺族に支給される遺族年金は、遺族特別年金および300万円の遺族特別支給金も給付されます。
※配偶者(妻・夫)以外の遺族に対しては、条件が有り、条件を満たしている親族に支給されます。
この場合、受給資格のある該当者は、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹が受給資格者となりますが、ただし、条件が有り、
[経済的支援が必要な者:未成年者・高齢者・障害を抱えている者]などが、該当者となります。
未成年の場合は、「18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間であるか一定の障害のある子」となります。
・業務災害の場合は「遺族補償給付」
・通勤災害の場合は「遺族給付」
が支給されます。
※労働者が業務上の災害によって亡くなった場合、その労働者の収入によって生計を維持していた遺族に遺族年金が支給される場合は、遺族特別年金および遺族特別支給金の300万円も支給されます。(申請する場合は遺族補償給付と同時に行ってください)
(※年金の受給権が転給「移動」した場合、遺族特別支給金は支給されません。)
葬祭料
業務災害または通勤災害により、亡くなられてた方のために葬祭を行う場合に支給されます。
・業務災害の場合は「葬祭料」
・通勤災害の場合は「葬祭給付」
として支給されます。
葬祭料
その支給額は、315,000円+給付基礎日額30日分であり、最低保障の給付基礎日額60日分となります。
315,000円+給付基礎日額30日分の金額が給付基礎日額の60日分に満たない場合は、給付基礎日額の60日分が支給されるようになっています。
労災保険の適用対象外の中小事業主、家族従業者(自営業主)、一人親方(個人事業主)、海外派遣者などは、労災保険の対象となりませんが、申請により、条件等有りますが、
特別加入制度に任意での加入することができます。
労災認定のながれ!
通勤や勤務中にケガした時や、病気(脳梗塞などの疾病)になった場合、連れていかれた病院が、労災指定の病院とは限りません! そんな時、いったん実費で医療費を支払うのですが、そこで、国民健康保険を使用せず、労災保険を使用する事を受付で話してください!。 そうする事で、後日 労働基準監督署に医療費などの請求書を提出する事が出来るので医療費にかかった費用が戻ってきます。
自力で病院に行ける場合は、労災手続きの必要書類をネットでダウンロードして、労災指定の病院を利用すれば、労働基準監督署に病院側から請求が行くので、必ずとは言えませんが実費負担をする事は無いと言えます。
しかし、連れていかれた場合の病院が 労災指定の病院でない場合は、治療費を一時的に 建て替える必要があり、ケガや病気の程度によっては、思いもよらない金額を請求される事もあります。
その場合、いったん支払いを済ませるしかありません、その後、会社に報告したうえで 労働基準監督署に請求書を提出してもらうか、個人で提出することができます。
この請求書の内容には3種類あり[費用請求書・休業給付・療養給付] などのが有ります。
[在籍する会社が保険に未加入の場合]
企業側は、従業員の労災保険への加入は強制なのにですが、まれに個人経営の会社などは、未加入の場合が有ります、たとえそんな場合でも、労働基準監督署に労災認定請求をする事ができます。
請求書の提出後、労働基準監督署が[労災対象者・雇い主(事業主)・診断をした病院]などへの聞き取り調査を行い、労災認定の判断調査を行います。
調査は約1か月で認定される場合や、1年以上かかる場合も有り、労災認定をすぐに受けられるとは限りません。 さらに、認定されない場合も有ります、その場合は、労働者災害補償保険審査官に再審査を請求する事もできますが、ほとんどの場合 結果が変わる可能性は無く、その確率は約95%も無いと言えるでしょう。
認定された場合でも、思っていた等級が低かった場合は、再審査の請求も出来ます。その場合、給付等支給決定通知日から60日以内に再審査請求をしなければなりません!。
上記でも述べましたが、認定が変わる事はほぼ無い為、最初のうちに医師にしっかりと症状を伝える事を心がけて下さい!。
最後に労災の時効について!
労災には時効があります。
・治療や休業補償に関する労災が2年
・障害や亡くなった場合の労災が5年
この期間が、過ぎてしまうと、時効が成立してしまい、労災認定の請求ができないので注意してください!。
後々の仕事や日常に支障が出ないとも限りません!「このくらいなら大丈夫だし、それに面倒だから」と思わず、申請を行なうようにしましょう!。
全国各地の労働基準監督署 【 所在案内 】
ご利用(お問い合わせ)時間は、8:30~17:15(平日)となっています。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません